オフィスビルという"日常"に、
世界的デザイナーのファッションショーという"非日常"を
2024.12
ビル竣工30周年を記念し、世界的デザイナーのコシノジュンコ氏をプロデューサーに迎えて様々なイベントを開催してきた「SHINJUKU PARK TOWER 30th Anniversary」プロジェクト。そのメインを飾る、東京ガス不動産株式会社主催・コシノジュンコ氏プロデュース「La mode du Futur Collection」が、2024年10月30日(水)に開催されました。1階アトリウムが舞台のファッションショー。その模様と、コシノジュンコ氏と新宿パークタワーがショーに込めた想いをお伝えします。
「SHINJUKU PARK TOWER 30th Anniversary」プロジェクトのメインを飾るイベントがついに開催。
今回のファッションショーのテーマは、La mode du Futur-"未来のモード"。そこには、新宿パークタワーの設計を手掛けた、巨匠・丹下健三氏の建築へのオマージュが捧げられています。開業当初から上層階にある「パークハイアット 東京」を愛し、このビルへの造詣が深いコシノジュンコ氏がショーの舞台に選んだのは、「ここまで天井の高い、ダイナミックな空間はない」と語る1階のアトリウム。稀に見る贅沢な空間とメタリックな質感の内装から「飛躍した色のない光」という"未来"につながる抽象的なモードコレクションとショーの構想が生まれました。
「オフィス」という日常の空間で未知の世界を届けるために演出を手掛けたのは、JUNKO KOSHINO株式会社 代表取締役社長の鈴木順之氏。「今回のコシノのショウは、建物の色使いを活かし無彩色が特徴。デザインを活かしながら、映像や照明、音楽で未来的な世界観を盛り上げたい」とリハーサル前に語ってくれました。
PM1:00 アトリムの空間に突如ランウェイが現れて。
普段はビルで働くワーカーや訪問客の方が移動や待ち合わせに利用する、平日午後の1階アトリウム。オフィスの日常に突如現れた大型スクリーンと34mにもおよぶランウェイに、行き交う人々は「何が始まるの?」と足を止めます。
そんな中でリハーサルは始まりました。コシノ氏自ら客席に座り、モデル達の立ち位置や動きまで確認。本番が数時間後に迫る中でもデザイナー、モデル、演出、それぞれのプロフェッショナルが類まれなる集中力でつくり上げてゆきます。
PM6:00 チャレンジングなショーの始まり。
日没とともにフロアが暗くなっていく中で、存在感を放つショーのステージ。ステージの周りを囲むように、客席にはビルで働く方々のほか、多数の著名人も。テレビ局の取材も訪れ、その注目の高さがうかがえます。
会場が熱気に包まれる中、登場したのは、「丸」をモチーフとした大胆なデザインのドレスを纏ったモデル。この丸はコシノ氏の中で「宇宙」を象徴するもの。続いて4人のモデルが纏うのはスカートの裾をファスナーでつなげたり離したりできるドレス。連なって歩く姿は、新宿パークタワーを象徴する3つのトライアングルのよう。
ステージの映像も衣装ともに変化し、動く建築のようなグラフィックから次第に水の波紋のグラフィックへ。呼応するように、メタリックなドレスや風をふくんでふくらむ帆のようなバルーンコートなど、ショーのスケールは建築から自然や光、宇宙へと広がってゆきます。
さらに、元宝塚歌劇団宙組トップスターの真風涼帆さんもモデルとして登場し、幻想的な衣装を着こなしながら抜群の表現力で観客を魅了します。
そして、ショーも終盤に差し掛かり、ステージは暗転。厳かな光の中で現れたのは、未来的なドレスを身に纏った、男女の声を歌い分けるオペラ歌手のマリアセレンさん。182cmの長身から発せられる美しいソプラノの歌声とともにゆっくりステージを歩みます。目が離せない、圧倒的な存在感。「対極の美」を提唱してきたコシノ氏の真骨頂のような瞬間です。
ショーのフィナーレにはモデル達とともにコシノジュンコ氏も登場。世界的デザイナーによる挑戦的なショーの成功に、観客は盛大な拍手を送りました。
パリコレに匹敵するほど圧巻のショーをつくり上げた想い。
「今回のショーのテーマでもある"未来"は永遠に見えなくて、掴めないもの。オフィスビルの中にあるアトリウムという空間は普段着がなじむ場所ですが、それと対極したファッションを通じて、見たことのない世界を体験してもらいたいと考えました。新宿パークタワーは、アートに理解のある建物。オフィスに様々な文化が入ってくることは、働く人に前向きさや誇りを与えてくれると思います。そんなオフィスビルは世界できっとここだけ。そんな場所でショーができるなんて幸運だと思います」と、ショーの本番前に嬉しそうに語ったコシノジュンコ氏。
ショーを終えた後には、「余計な事は考えずにできたショーでした。大好きなこの場所にふさわしい未来を無邪気に表現できたと思います。未来は答えがないからこそ自由に考えられる。私はずっと「丸」と「四角」の「対極」のコンセプトを大切にしていて、丸は宇宙であり、未来だと考えています。その発想をふくらませながら、宇宙や未来が見えたらどうなるのだろう?と形にしたのが、今回のショーです」と語るコシノジュンコ氏の充実感あふれる表情が印象的でした。
ビジネスとファッションが交わる、他に例を見ないファッションショー。それをつくり上げたのは、コシノジュンコ氏と新宿パークタワーとの深い信頼関係だと語る、プロジェクトを運営する東京ガス不動産営業部の中村さんと伊藤さん。プロジェクトの立ち上げから、一過性の周年イベントではなく、ビルに関わるすべての人への感謝と西新宿エリアの発展への想いを込めた、未来へつながるイベントにしたいと考えていたそう。多様性に富んだアイデアを持つコシノジュンコ氏とともにイベントを考えるときに大切にしていたのは、プロジェクトのコンセプトやビルのビジョンを共有しながら対話をし続けること。コシノジュンコ氏と新宿パークタワーの関係性が深まる中で形になったものは、一つひとつが斬新でありながらこのビルらしい「光」や「未来」が表現されています。また、今回のファッションショーには、コシノジュンコ氏の母校であり、西新宿に校舎のある文化服装学院の生徒を招待。このショーからインスパイアされた次世代のクリエイター達が、「新宿パークタワーで表現を発信したい!」と憧れる場所でありたいという思いも込められています。
コシノジュンコ氏のショーの記憶を活かして、新宿パークタワーで働く皆さんの日常を輝かせるイベントや、地域との連携、アートの発信に力を入れていく新宿パークタワーに、これからもぜひご期待ください。
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